スイト君(続2)
スイト君(続2)~夜明け~
金落ち山を取り囲んでいた闇が徐々に明けてくると同時に、人影も山の周辺でまばらに浮かび上がろうとしていた。有刺鉄線で囲んである数カ所の出口では、24時間体制で係りのものが警備に当たっていた。そしてヨセヨの社長や重役達は山の中に臨時のプレハブ小屋を造り、夜通し議論を行っていた。社員2000人(適当)をも山の麓に集結させ、交代させながら車で見回りをさせていたのだった。有刺鉄線がペンチか何か大きくでこじ開けられているのに気がついたのは、辺りが明るくなってからのことだった。
コンコン
「大変です、何者かが山の中に侵入した模様です。合わせて十数カ所鉄線が壊されていました。」
社員のコエダは少し苛立っているような面もちでプレハブ小屋の重役達にそう伝えた。「手分けして連れ戻して来てくれ、それからもっと頑丈な壁を作るように責任者達に伝えてくれ。」
重役のタオキは返答した。すると時期に、コンコン
「あの、フェンスの周りに人がまばらに集まって来ていますが。」もう一人の社員が言いに来た。「近づけさせるな、帰らせろ。この山は我々のものだ。それに落ちてるお金は全部株式会社ヨセヨのものだ。ちゃんと説明しておけ。」社長のカタウラはそう言うと外へ向かった。
「おい、みんな行くぞ。またヘリに乗って呼びかけだ。」
(未完成)
2005年ブログ投稿作品 著/Kenji Aso